海外シェフからも熱視線!  究極の切れ味を目指す老舗鍛冶屋(かじや)の挑戦 ~吉田刃物株式会社~

佐賀刃物の製造技術を受け継ぐ、日本最大級の老舗鍛冶屋

吉田刃物株式会社は、江戸時代から続く佐賀刃物の伝統を受け継ぐ刃物メーカーです。刀工として修行した創業者がその礎を築き、終戦翌年の昭和21年に農業用刃物の生産をスタート。現在創業71周年になります。昭和51年には創業の小城市から現在の多久市へ工場を新設し移転。機械化により量産体制を進め、多久市の自然豊かな場所に工場と直売所を構え、全国へ向けて商品を出荷しています。

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鍛造(たんぞう)、研ぎ、組立等の分業が多い刃物業界において、材料から完成まで一貫生産出来るのが全国でも珍しい強みです。カマ・クワ・ハサミ等の農業・園芸用刃物や、チッパーナイフ等の機械用刃物、包丁等の家庭用刃物まで幅広く展開しています。

 

ルックス・切れ味・扱いやすさすべてにおいて最高級の三徳包丁

そして今、国内外から熱い視線を浴びている包丁があります。

その名も「ZDP189包丁」

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「ZDP189」とはハガネの材料名です。青紙(あおがみ)等の刃物材料の製造で有名な日立金属株式会社製で、高級ナイフ用のステンレスとして世界的に有名です。特長はサビに強い上に非常に優れた耐摩耗性がある為、切れ味が長く持続するところ。吉田刃物では軟らかいステンレス材に「ZDP189」を割り込んだ3層鋼を自社製造し、刃物全体の強度を高める事に成功しました。

又、「ダマスカス」と呼ばれる21層鋼も独自に開発製造。複雑な文様はひとつとして同じものは無く、美術品としての評価も高く、日本刀を彷彿とさせる文様から海外からの引き合いも多いそうです。

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品番7316 ZDP複合文化包丁(黒)190mm \25,000-(税込)

「ZDP189」の中でも、特に人気のある包丁が、「ZDP189複合文化包丁(黒)190mm」です。ステンレス製なのに鍛造黒仕上げで、その外観は今時のステンレス包丁にはない独特の雰囲気があり、国内外から高い評価を受けています。

昨今、日本製の包丁は和食ブームの後押しもあり、海外のシェフたちから熱いまなざしが向けられる存在に。そして吉田刃物にも、ヨーロッパやアメリカのシェフや問屋から、「ZDP189」の注文や、新たな開発依頼が数多く入っているそうです。

入社以来この道30年という営業部長の森永邦彦さんに「ZDP189」について聞いてみると、「トマトの上にのせるだけで、力を入れなくてもすっと切れる」というほど。
「青果加工場でタマネギを大量に刻んでいるお使いのお客さまが、3か月毎日使っても切れ味が変わらないと驚いていましたよ」と、いうエピソードも教えて下さいました。そして「この包丁を使って最も味が変わる食材は何ですか?」という質問には、「お刺身だね」と即答。切れ味抜群の鋭い刃が、魚の身を滑るように切り上げ、細胞を潰さずに素材の味を活かし、艶々のお刺身になるのだそうです。「釣りが趣味で道具にこだわりを強く持つお客様が、釣った魚を一番おいしい状態で食べたいと購入していく」という話にも、思わず納得です。

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そんな話をしているさなかにも、ショールームにはお客様が。
卸市場に魚を卸しているご夫婦が、その切れ味の評判を聞いていらっしゃったそうです。ふたりで1丁1丁包丁を見て手に取り、吟味されていました。

 

熟練の職人集団が、1丁ずつ丁寧につくっています

「ZDP189」はすばらしい鋼材ですが、包丁にするには繊細な技術が必要という難点も。それゆえ、日本国内で製造しているのは、吉田刃物のほかには数社しかないそうです。決して派手さはなく、むしろひっそりと工場を構えているようにも見えますが、知る人ぞ知る実力派集団。その工場を見学させてもらいました。

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道を渡って向かいにある工場には、たくさんの工員さんたちが包丁や鎌等をつくっている姿がありました。

取材中、リズミカルに「ズドーン」と響く音が聴こえていたのですが、その音はこの大きな鍛造機から。熱く熱された金属を、一気に叩き成型する鍛造(たんぞう)工程がここで行われます。

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この工程では、刃の歪みをハンマーで細かく叩き、まっすぐにしていきます。職人がほんの数秒見ただけで、わずかな歪みをハンマー1本で調整する姿は、熟練の技が光る光景でした。

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自社製品に絶対の自信!
大切に使ってもらいたいから、メンテナンスもウェルカム

工場案内をしてくださったのは、広報を担当する吉田久美子さん。
半年前までは地元誌のライターをしていたそうで、吉田刃物を取材して社風や製品に惚れ込んで転職してきたという経歴の持ち主です。

「前職で記者として取材をさせてもらったときに、吉田刃物の包丁を佐賀市にある老舗日本料理店の板前さんに使ってもらったことがあり、“包丁の作り手が、使い手のことをよく考えてつくっている”と絶賛でした。本当にいいものがたくさんあるんです」と、太鼓判。

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刃物は古来より各種祭事に用いられ、祝い事や贈り物として最適なもののひとつとされてきました。「刃物は災いを断ち切り、幸福を切り開く縁起もの」として、魔除けとして新築のお祝いや、就職、ご結婚のお祝いにも未来を切り拓くと贈り物に重宝されています。
実際に、「嫁いでから料理で苦労しないように」いう意味も込めて、花嫁への贈り物として包丁を選ばれることも多いそうです。良い包丁は一生もの。ずっと使ってほしいので名入れも承っています。

直売所には、他にもペティナイフや牛刀・出刃包丁など、用途別のラインナップも豊富です。ご要望の商品が無い場合は、オリジナルの商品製作も可能との事です。

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また、「包丁はベストな状態で使ってほしいという思いから、研ぎや修理も随時受けています。他社の包丁でもかまいません」と森永さん。

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これからは使い手の声を聞きながら、よりよい製品をつくりたい

「ありがたいことに包丁を大切に使ってくださるお客様が多いんです。ご家庭で使ってみた感想を伺えるのも参考になります。これからはそんな声を活かして、商品開発にも益々力を入れたいです」と、森永さんが意気込みを語ってくれました。
取材に対応してくれた森永さんと吉田さんや会社全体から感じたのは、老舗鍛冶屋としての誇りと、自社の商品への深い愛情。

佐賀の小さな町にある鍛冶工場では、今日も世界に向けて出荷される日本包丁が丁寧につくられています。世界に誇るメイドインジャパン製品のひとつとして、これからの活躍にも期待できそうです。

 

 


問い合わせ先

吉田刃物株式会社

〒846-0025 佐賀県多久市南多久町大字花祭2808
TEL:0952-76-3868